小規模宅地等の特例で相続税が最大80%減額!適用要件と申請方法を完全解説

小規模宅地等の特例で相続税が最大80%減額!適用要件と申請方法を完全解説

小規模宅地等の特例を使えば、相続税を最大80%も減額できます。この特例は、亡くなった方が住んでいた自宅や事業で使っていた土地を相続するときに、土地の評価額を大幅に下げることができる制度です。

なぜこんなに大きな減額が可能なのでしょうか。それは、相続税が高すぎて自宅を売らなければならない、という悲しい事態を防ぐために国が作った制度だからです。特に都市部では土地の値段が高いため、相続税も高額になりがちです。そこで、実際に住み続ける人や事業を続ける人には、税金を軽くしようという考えから生まれました。

たとえば、評価額5,000万円の自宅を相続する場合、特例を使わないとそのまま5,000万円に対して相続税がかかります。しかし、特例を使えば80%減額されて1,000万円の評価額になり、相続税が大幅に安くなります。

この特例を受けるためのポイントは次の3つです。

  • 配偶者や同居していた親族が相続すると適用されやすい
  • 相続税の申告期限(10か月以内)までに手続きを完了させる必要がある
  • 申告期限前に土地を売却すると特例が使えなくなる

本記事では、小規模宅地等の特例について、適用要件から具体的な計算方法、必要書類まで、初めての方にもわかりやすく解説していきます。

小規模宅地等の特例とは?相続税が最大80%減額される仕組み

「親が亡くなって実家を相続することになったけど、相続税が払えるか心配…」そんな不安を抱えている方に朗報です!小規模宅地等の特例という制度を使えば、なんと相続税が最大80%も安くなる可能性があるんです。これは決して怪しい話ではなく、国が正式に認めている税制優遇措置なんですよ。たとえば、1億円の評価額の土地が、たったの2,000万円として計算できることもあるんです。まるで高級ブランドバッグが80%オフのセールになるようなもので、使わない手はありません!この特例は、亡くなった方の自宅や事業で使っていた土地を相続する際に適用できる制度で、正しく活用すれば家族の生活を守る強い味方になってくれます。

小規模宅地等の特例の概要と根拠法令

小規模宅地等の特例は、相続税法第69条の4という法律に基づいて作られた正式な制度です。この法律、実は昭和58年から存在している歴史ある制度なんです。簡単に言うと、「亡くなった人が住んでいた家や、商売で使っていた土地を相続するときは、税金を大幅に安くしてあげますよ」という国からの配慮なんですね。

この特例の最大の特徴は、土地の「課税価格」を計算するときの評価額を大幅に減額できることです。相続税法施行令第40条の2でも詳しく定められており、租税特別措置法とは異なる恒久的な制度として位置づけられています。

  • 根拠法令:相続税法第69条の4(小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例)
  • 施行令:相続税法施行令第40条の2で具体的な計算方法を規定
  • 最大減額率:評価額の80%(居住用・事業用)または50%(貸付事業用)
  • 申告要件:相続税の申告書に明細書を添付することが必須

まるで国が「大切な家を守ってほしい」というメッセージを込めて作った制度のようで、本当にありがたい仕組みですよね。

相続税評価額の減額率と対象面積の基本

「80%減額って聞くとすごそうだけど、実際どれくらいお得なの?」と思われる方も多いでしょう。具体的に説明すると、5,000万円の評価額の土地が、なんと1,000万円として計算できるんです!これは、5,000円のランチが1,000円で食べられるようなもので、本当にお得感がありますよね。

ただし、この特例には「限度面積」という制限があります。たとえば、自宅の場合は330㎡(約100坪)まで、事業用なら400㎡(約121坪)までという具合です。これを超える部分は通常の評価額で計算されます。東京ドームの面積が約46,755㎡なので、330㎡というのは東京ドームの約140分の1くらいの広さですね。一般的な住宅地なら十分カバーできる広さです。

路線価や倍率方式で算出された土地の評価額に対して、この減額率を適用することで、相続税の課税標準額が大幅に圧縮されます。まさに「知っている人だけが得をする」制度と言えるでしょう。税理士さんたちの間では「小宅(しょうたく)」という略称で呼ばれることもあり、相続税対策の定番中の定番なんですよ。

小規模宅地等の特例が導入された背景と目的

この特例が生まれた背景には、実は日本の深刻な社会問題があったんです。1980年代のバブル期、土地の値段が急激に上昇し、普通のサラリーマン家庭でも相続税が払えないという事態が多発しました。「先祖代々の家を守りたいのに、税金が払えなくて手放すしかない…」そんな悲しい現実があったんですね。

国もこの問題を重く見て、「生活の基盤となる居住用の宅地や、事業継続に必要な宅地については、相続税を軽減しよう」という政策判断をしました。これが小規模宅地等の特例の始まりです。

  • 導入時期:昭和58年度税制改正で創設
  • 主な目的:居住や事業の継続性を確保し、相続による生活基盤の喪失を防ぐ
  • 社会的意義:地域コミュニティの維持と事業承継の促進
  • 政策的配慮:中小企業や個人事業主の事業継続を税制面から支援

つまり、この特例は単なる税金の優遇措置ではなく、「家族の生活と地域社会を守る」という大切な役割を担っているんです。

小規模宅地等の特例が適用される4種類の宅地

「うちの土地は特例の対象になるのかな?」と疑問に思っている方、実は対象となる宅地は大きく4つのカテゴリーに分かれているんです。それぞれに異なる条件や減額率が設定されていて、まるでレストランのコース料理のように、選ぶメニューによって内容が変わってきます。重要なのは、自分の相続する土地がどのカテゴリーに当てはまるかを正確に把握することです。この判断を間違えると、せっかくの特例が使えなくなってしまうこともあるので、慎重に確認していきましょう。特に、同じ土地でも使い方によって分類が変わることもあるんですよ。

特定居住用宅地等(自宅)の特例内容

最も多くの方が関係するのが、この「特定居住用宅地等」の特例です。簡単に言えば「亡くなった方が住んでいた自宅の土地」のことですね。この特例を使うと、なんと評価額が80%も減額されます!たとえば、都心の一等地にある実家の土地が1億円の評価だったとしても、2,000万円として計算できるんです。これは本当に大きな違いですよね。

ただし、誰でも使えるわけではありません。基本的には「配偶者」か「同居していた親族」が相続する場合に適用されます。配偶者の場合は無条件でOKですが、子供が相続する場合は「申告期限まで住み続ける」という条件があります。

  • 減額率:80%(評価額が5分の1になる)
  • 限度面積:330㎡まで(約100坪)
  • 主な適用対象:配偶者、同居親族、家なき子(条件あり)
  • 居住継続要件:相続税の申告期限(10か月)まで居住・所有を継続

「被相続人居住用宅地等」という正式名称もありますが、税理士さんたちは親しみを込めて「自宅特例」と呼ぶことも多いんですよ。

特定事業用宅地等(個人事業)の特例内容

お父さんが町の小さな工場や商店を経営していた場合、その事業用の土地も特例の対象になります。これが「特定事業用宅地等」です。個人事業主として確定申告をしていた事業で使っていた土地が対象で、こちらも80%の減額が受けられます。たとえば、代々続く和菓子屋さんの土地や、町工場の敷地などが該当します。

重要なポイントは「事業を引き継ぐこと」です。単に土地を相続するだけでなく、その事業を継続することが条件になっています。まるで「家業を守る人には税金を安くしてあげる」という国からのエールのようですね。事業用宅地等の場合、限度面積が400㎡と居住用より広く設定されているのも特徴です。これは事業には広い敷地が必要なことが多いからです。

「事業的規模」という税務用語もポイントで、趣味程度ではなく、生計を立てるレベルの事業であることが必要です。青色申告をしていれば、事業として認められやすいという実務上の目安もあります。

特定同族会社事業用宅地等(法人事業)の特例内容

「うちは会社形態で商売をしているんだけど…」という方もご安心ください。同族会社が使っている土地も、条件を満たせば特例の対象になります。同族会社とは、簡単に言うと「家族や親族で経営している会社」のことです。株式の50%超を親族で保有しているような会社が典型例ですね。

この特例も減額率は80%、限度面積は400㎡です。ただし、適用条件が少し複雑で、相続人が「その会社の役員である」ことや「会社の株式を一定以上保有している」ことなどが求められます。

  • 法人の要件:被相続人及び親族等が発行済株式の50%超を保有
  • 相続人の要件:申告期限において会社の役員であること
  • 事業継続要件:相続税の申告期限まで事業を継続すること
  • 証明書類:法人税申告書、株主名簿、役員名簿等が必要

「特定同族会社」という用語は相続税法特有の概念で、一般的な会社法の同族会社とは定義が異なる点にも注意が必要です。

貸付事業用宅地等(賃貸物件)の特例内容

アパートやマンション、駐車場などの賃貸物件の土地も特例の対象です。ただし、こちらは減額率が50%と、他の3つより低く設定されています。「なぜ賃貸だけ減額率が低いの?」と思うかもしれませんが、これは賃貸業が比較的安定した収益を生むビジネスだからです。国としては「自宅や事業用ほど保護の必要性は高くない」と判断しているんですね。

限度面積も200㎡と狭めです。でも、都心のワンルームマンションの敷地などであれば、十分カバーできる広さです。重要なのは「事業的規模」で貸付を行っていることです。たとえば、アパートなら5棟10室基準(独立家屋5棟以上または部屋数10室以上)を満たしていることが一つの目安になります。

「不動産貸付業」や「駐車場業」として青色申告をしていれば、事業として認められやすくなります。ただし、相続開始前3年以内に新たに貸付を始めた物件は原則対象外という「3年縛り」もあるので注意が必要です。

小規模宅地等の特例を受けるための適用要件

「特例があるのはわかったけど、実際にうちは使えるの?」これが一番気になるところですよね。実は、この特例には細かい適用要件があり、まるでパズルのピースを合わせるように、すべての条件をクリアする必要があるんです。でも心配しないでください!要件は複雑に見えますが、一つずつ確認していけば、必ず理解できます。特に重要なのは「誰が相続するか」と「相続後どうするか」の2点です。この章では、相続人の立場別に要件を詳しく解説していきますので、自分のケースに当てはめながら読んでみてくださいね。

配偶者が相続する場合の要件

配偶者の方には朗報です!配偶者が相続する場合、特例の適用要件は最もシンプルで、ほぼ無条件で適用を受けることができます。これは「配偶者は生活の本拠を失わないように」という国の配慮からです。亡くなった方と一緒に暮らしていた家を、そのまま住み続けられるようにという温かい制度設計なんですね。

配偶者の場合、同居・別居を問わず、また相続後の居住継続も問われません。たとえ相続後すぐに売却したとしても、申告期限内であれば特例は適用されます。これは本当に大きなメリットです。ただし、内縁関係では適用されないので、法律上の婚姻関係があることが大前提です。

  • 同居要件:不要(別居していても適用可能)
  • 居住継続要件:不要(相続後の売却も可能)
  • 所有継続要件:申告期限まで所有していればOK
  • 婚姻要件:法律婚のみ対象(事実婚・内縁は対象外)

「配偶者居住権」という新しい権利との併用も可能で、柔軟な相続プランを立てることができます。まさに配偶者にとっては「最強の味方」といえる制度ですね。

同居親族が相続する場合の要件

お父さんやお母さんと一緒に暮らしていた子供さんが相続する場合も、比較的要件をクリアしやすいです。ただし、配偶者と違って「申告期限まで住み続ける」という条件があります。これは相続税の申告期限である10か月間、その家に住み続け、かつ土地を所有し続ける必要があるということです。

「同居」の定義も重要で、住民票が同じというだけでなく、実際に生活の本拠として暮らしていたことが必要です。たとえば、単身赴任で一時的に離れていても、生活の本拠が実家にあると認められれば同居とみなされることもあります。逆に、住民票だけ移して実際は別居していた場合は認められません。

税務署は「生計を一にする」という表現を使いますが、これは必ずしも財布が一緒という意味ではなく、日常生活を共にしているという実態を重視します。電気・ガス・水道などの公共料金の支払い状況や、郵便物の送付先なども判断材料になることがあります。まるで探偵のように細かくチェックされることもあるので、実態に即した申告が大切です。

家なき子特例(別居親族)の適用要件と2018年改正内容

「実家を出て別の場所に住んでいるけど、相続で実家を守りたい」そんな方のために「家なき子特例」という制度があります。正式には「特定居住用宅地等の特例における別居親族の特例」といいますが、自分の持ち家がない相続人を「家なき子」と呼ぶことから、この愛称で親しまれています。

ただし、2018年の税制改正で要件が大幅に厳しくなりました。以前は「相続開始前3年以内に自己または配偶者の持ち家に住んでいない」という条件だけでしたが、改正後は更に細かい要件が追加されています。

  • 基本要件:相続開始前3年以内に、日本国内で自己または配偶者の所有する家屋に居住していないこと
  • 追加要件1:相続開始時に居住している家屋を過去に所有したことがないこと
  • 追加要件2:配偶者がいる場合、配偶者も持ち家を所有していないこと
  • 親族要件:被相続人に配偶者がおらず、同居相続人もいないこと

この改正は「家なき子特例の悪用」を防ぐためでした。改正前は、わざと持ち家を親族に売却して賃貸に住み、形式的に「家なき子」になる節税スキームが横行していたんです。国税庁はこれを「租税回避行為」として問題視し、抜け道を塞いだというわけです。

被相続人が老人ホーム入所中だった場合の取扱い

「お父さんは最後の数年間、老人ホームにいたんだけど、実家は特例の対象になるの?」という質問をよく受けます。結論から言うと、一定の条件を満たせば、老人ホームに入所していても、もとの自宅を「居住用宅地」として特例の対象にできます。これは高齢化社会の実情に配慮した、とても現実的な制度設計です。

重要なポイントは「なぜ老人ホームに入所したか」です。介護が必要になったため、やむを得ず入所した場合は、自宅を居住用として扱ってもらえます。一方、単に「一人暮らしが寂しいから」という理由での入所だと、認められない可能性があります。

また、老人ホームの種類も重要です。「介護保険法に規定する施設」や「老人福祉法に規定する施設」であることが条件です。さらに、自宅を他人に貸していないこと、いつでも戻れる状態を維持していることも必要です。税務署は「要介護認定」や「要支援認定」の有無、入所契約書の内容、自宅の維持管理状況などを総合的に判断します。まるで裁判官のように、様々な証拠を吟味して判断するんですね。

小規模宅地等の特例の減額割合と限度面積一覧

ここまで読んできて「結局、うちの土地はどれくらい減額されるの?」と具体的な数字が知りたくなってきた頃ではないでしょうか。実は、土地の用途によって減額率と限度面積が法律でキッチリと決められているんです。まるでレストランのメニュー表のように、それぞれのコースで内容と価格が違うんですね。この章では、具体的な数字を使って、どれくらいお得になるのかを詳しく見ていきましょう。特に複数の土地を相続する場合の計算方法は、知っているだけで数百万円、時には数千万円の差が出ることもあるんですよ!

居住用宅地等の減額割合80%・限度面積330㎡

居住用宅地等は、まさに「特例の花形」といえる存在です。減額率80%というのは、本当に破格の優遇措置なんです。具体的に計算してみましょう。たとえば、東京都内の住宅地で路線価が1㎡あたり50万円の土地を200㎡相続する場合、通常なら1億円の評価額になります。でも、この特例を使えば、なんと2,000万円の評価額で済むんです!8,000万円も減額されるなんて、まるで宝くじに当たったような気分ですよね。

限度面積の330㎡は、坪数に換算すると約100坪です。都心では十分広い敷地ですし、地方なら一般的な住宅の敷地面積です。もし土地が330㎡を超える場合は、330㎡までが80%減額の対象で、超えた部分は通常の評価額になります。

  • 減額計算式:土地の評価額 × 80% = 減額される金額
  • 限度面積:330㎡(約100坪)まで適用可能
  • 超過部分:330㎡を超える部分は通常評価(減額なし)
  • 実効税率への影響:相続税の限界税率が30%なら、実質24%の節税効果

「小規模宅地等の評価減の特例」という正式名称からも分かるように、この制度は評価額そのものを減らすので、相続税の累進税率が高い人ほど節税効果が大きくなります。

事業用宅地等の減額割合80%・限度面積400㎡

事業用宅地等も居住用と同じく80%の減額率ですが、限度面積が400㎡とより広く設定されています。これは、事業を行うには住宅より広い敷地が必要なことが多いからです。町工場や商店、事務所などを思い浮かべると、確かに住宅より広いスペースが必要ですよね。

400㎡は約121坪で、テニスコート約1.5面分の広さです。中小企業の工場や、地方の大型店舗でも十分カバーできる面積です。たとえば、評価額2億円の事業用地(400㎡)なら、特例適用後は4,000万円の評価額になります。1億6,000万円もの減額は、事業承継にとって本当に大きな支援になります。

「特定事業用宅地等」と「特定同族会社事業用宅地等」の両方が該当しますが、それぞれ要件が異なるので注意が必要です。個人事業なら青色申告の実績、法人なら役員就任や株式保有などが問われます。事業承継税制との併用も可能な場合があり、ダブルで節税効果を得られることもあります。

貸付事業用宅地等の減額割合50%・限度面積200㎡

貸付事業用宅地等は、他の3つと比べて減額率が50%と低めです。「なんで賃貸だけ差別されるの?」と思うかもしれませんが、これには理由があります。賃貸業は比較的安定した収益を生むビジネスで、相続後も賃料収入で相続税を払いやすいという判断があるんです。

限度面積も200㎡(約60坪)と最も狭いです。でも、都心のワンルームマンションや小規模アパートなら、この面積でも十分です。たとえば、1億円の評価額の賃貸アパートの敷地(200㎡)なら、5,000万円の評価額になります。半額になるだけでも、かなりの節税効果ですよね。

  • 適用条件:事業的規模での貸付(5棟10室基準が目安)
  • 3年縛り:相続開始前3年以内に貸付を開始した宅地は原則対象外
  • 相続後の継続:申告期限まで貸付事業を継続する必要あり
  • 併用可能:他の特例適用地との併用計算が可能

「貸付事業用宅地等の50%評価減」は、不動産投資をしている方にとって重要な制度です。ただし、平成30年度改正で導入された「3年縛り」には要注意です。

複数の宅地を併用する場合の計算方法

「実家の土地と、お父さんが経営していた工場の土地、両方相続するんだけど…」という場合、実は両方に特例を適用できる可能性があります!ただし、併用する場合は少し複雑な計算が必要になります。まるで数学のパズルを解くような感じですが、理解すれば大きな節税につながります。

基本的な考え方は「限度面積の調整」です。それぞれの土地を単純に足し算するのではなく、一定の計算式に当てはめて調整します。居住用(330㎡)と事業用(400㎡)を併用する場合、最大730㎡まで使えるわけではなく、調整計算が必要です。

計算式は「A × 200/400 + B × 200/330 + C ≦ 200㎡」という形になります(Aは事業用面積、Bは居住用面積、Cは貸付用面積)。複雑に見えますが、要は「それぞれの限度面積に対する割合を計算して、合計が一定以下になるようにする」ということです。税理士さんは専用のソフトで瞬時に計算しますが、エクセルでも計算できます。最も評価額の高い土地から優先的に特例を適用するのが、節税のコツです。

小規模宅地等の特例を受けるための申告手続きと必要書類

「特例の内容はわかったけど、実際どうやって申請するの?」ここが一番の難関かもしれません。実は、この特例は自動的に適用されるものではなく、きちんと申告手続きをしないと受けられないんです。まるで宝くじに当選しても、換金に行かなければお金がもらえないのと同じですね。しかも、期限を過ぎたら一切適用できなくなるという厳しいルールがあります。この章では、確実に特例を受けるための手続きと必要書類について、実務的なポイントも含めて詳しく解説します。税務署との「書類バトル」に勝利するための完全ガイドです!

相続税申告の期限と基本的な流れ

相続税の申告期限は「相続の開始を知った日の翌日から10か月以内」です。たとえば、1月15日に亡くなった場合、11月15日が申告期限になります。この10か月という期間、長いようで実はあっという間なんです。お葬式、四十九日、遺産分割協議、不動産の評価、書類集め…やることが山積みで、気がつけば期限ギリギリということも珍しくありません。

特に注意したいのは、小規模宅地等の特例は「申告要件」があることです。つまり、相続税がゼロになる場合でも、申告書を提出しないと特例は使えません。「税金がかからないなら申告しなくていいでしょ?」と勘違いする方が意外と多いんです。

  • 相続開始から2~3か月:相続人の確定、遺言書の確認、相続放棄の検討
  • 3~6か月:財産目録の作成、土地の評価、遺産分割協議
  • 6~9か月:申告書の作成、必要書類の収集、特例適用の最終確認
  • 9~10か月:申告書の提出、相続税の納付

「申告期限の延長」は原則認められませんが、災害や相続人の所在不明など、やむを得ない事情がある場合は2か月の延長が認められることもあります。

共通で必要となる基本書類一覧

小規模宅地等の特例を受けるには、通常の相続税申告に必要な書類に加えて、特例用の書類が必要です。まるでパスポート申請のように、一つでも書類が足りないと受付してもらえません。でも大丈夫、一つずつ確実に揃えていけば必ずクリアできます。

基本となる書類は、被相続人と相続人の関係を証明するものです。戸籍謄本は「出生から死亡まで」の連続したものが必要で、転籍している場合は複数の市区町村から取り寄せることになります。これが意外と時間がかかるんです。本籍地が遠方の場合は、郵送請求で2週間以上かかることもあります。

遺産分割協議書も重要な書類です。これは相続人全員で「誰が何を相続するか」を決めた契約書のようなもので、全員の実印と印鑑証明書が必要です。一人でも印鑑をもらい忘れると、特例が使えなくなる可能性があります。「相続税法第69条の4第1項の規定の適用を受ける旨」を必ず記載することも忘れずに。法定相続情報一覧図があれば、戸籍謄本の束の代わりに使えるので便利です。

居住形態別に必要な追加書類

同居していた場合と別居していた場合では、必要な書類が異なります。同居の場合は比較的シンプルで、住民票の写しで同居の事実を証明できます。ただし、「世帯全員分」の住民票が必要で、一部の人だけの住民票では不十分です。

別居の家なき子特例を使う場合は、もっと複雑です。自分が持ち家を所有していないことを証明する必要があるため、「戸籍の附票」や過去3年分の住所履歴がわかる書類が必要になることがあります。

  • 同居親族の場合:住民票の写し(世帯全員分)、被相続人の除票
  • 家なき子の場合:戸籍の附票、賃貸借契約書の写し、家なき子チェックシート
  • 老人ホーム入所の場合:施設の入所契約書、介護保険被保険者証の写し
  • 配偶者の場合:戸籍謄本のみで基本的にOK

税務署は「居住の実態」を重視するので、電気・ガス・水道の使用量明細や、郵便物の転送届なども参考資料として提出を求められることがあります。

事業用・貸付用宅地で必要な証明書類

事業用や貸付用の宅地の場合、「本当に事業として使っていたのか」を証明する書類が必要です。個人事業なら青色申告決算書や確定申告書、法人なら法人税申告書や決算書類が基本となります。これらは過去3年分を準備しておくと安心です。

特定同族会社の場合は、さらに詳細な書類が必要です。株主名簿、役員名簿、定款の写しなど、会社の実態を示す書類を揃えます。「同族会社の判定明細書」という特別な書類も作成する必要があり、これは税理士さんでないと作成が難しいかもしれません。

貸付事業の場合は、賃貸借契約書が最重要書類です。全ての部屋の契約書が必要で、空室があればその理由も説明できるようにしておきます。「不動産所得の収支内訳書」や「青色申告決算書(不動産所得用)」も必須です。家賃の入金記録として、通帳のコピーを求められることもあります。まるで税務調査のような細かさですが、これも特例を確実に受けるための重要なステップです。

まとめ

ここまで小規模宅地等の特例について詳しく見てきましたが、いかがでしたでしょうか。最初は「相続税が80%も安くなるなんて、本当?」と半信半疑だったかもしれませんが、この特例は確かに存在する、国が認めた正式な制度です。ただし、適用を受けるには細かい要件をクリアし、期限内に正確な申告を行う必要があります。

この特例の最大のポイントは「知っているか知らないか」で、相続税が数百万円、時には数千万円も変わってくることです。まるで、同じ商品でもクーポンを持っている人と持っていない人で値段が違うようなものですね。でも、このクーポンを使うには、様々な条件をクリアする必要があります。

特に重要なのは、早めの準備と専門家への相談です。相続が発生してから慌てて準備するのではなく、生前から相続対策を考えておくことが理想的です。「備えあれば憂いなし」という言葉通り、事前の準備が最大の節税につながります。

  • 特例を確実に受けるための3つのポイント:早めの準備、正確な書類作成、期限内の申告
  • 最も有利な特例の選び方:評価額の高い土地から優先的に適用を検討
  • 専門家に相談するタイミング:相続開始後すぐ、または生前の相続対策として
  • よくある失敗を避けるコツ:申告期限前の売却を避け、遺産分割協議を早めに完了させる

小規模宅地等の特例は、家族の生活基盤を守り、事業を次世代に引き継ぐための大切な制度です。この記事が、皆様の相続税対策の一助となれば幸いです。

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