
空き家は放置すればするほど犯罪に巻き込まれるリスクが高い
空き家を持っていると、「犯罪に悪用されないか心配…」と不安になる方はとても多いです。結論から言うと、空き家は放置すればするほど犯罪に巻き込まれるリスクが高まります。
その理由は、長期間手入れのされていない空き家は、人の気配がなく、犯罪者にとって格好のターゲットになってしまうからです。実際に全国では、放火や不法侵入だけでなく、薬物の密売拠点に利用されたケースまで発生しています。空き家を持っている人にとって、これは決して他人事ではありません。
たとえば、「郵便物が散乱している」「庭木が伸び放題」「窓が壊れたまま」という状態の空き家は、犯罪者に“住人がいない安全な場所”と判断されやすく、多くの事件の温床となっています。
つまり空き家の犯罪リスクを避けるには、放置せず、早めに対策や活用方法を考えることが必要です。
この記事では、空き家犯罪の実例から原因、そして具体的な対策まで分かりやすく解説します。まずは下記のポイントを押さえてください。
・空き家は放置すると犯罪リスクが急上昇する
・実際に全国で放火や不法占拠などの事件が発生している
・対策すればリスクを大きく下げ、資産として活用できる
空き家の不安をなくすためにも、正しい知識を身につけて安全に管理していきましょう。
空き家の犯罪リスクとは?まず知っておきたい基礎知識
なぜ空き家は犯罪に悪用されやすいのか
空き家が犯罪に悪用されやすい最大の理由は、「人の気配が途絶えていること」です。人の出入りがない家は、犯罪者にとって“安心して隠れられる場所”に見えてしまいます。心理学では「対象物の監視性が低いほど、犯罪が発生しやすい」という環境犯罪学の基本法則があります。まさに空き家は、その条件にぴったり当てはまってしまうのです。
空き家は、外から見ると人が住んでいないことが一瞬で分かります。たとえば、ポストの新聞が溜まっていたり、雑草が伸び放題だったりすると、「ここは誰も見ていない」と犯罪者に判断されてしまいます。
さらに、空き家は所有者の管理が行き届かないため、窓や扉が壊れたまま放置され、防犯性が著しく低下します。これが、侵入犯罪のリスクを大きく高めてしまうのです。犯罪者の心理を読み解くと、以下のポイントが「狙われる理由」になります。
- 人の気配がなく、監視されている感覚がない
- 侵入しても気づかれにくい環境が整っている
- 防犯設備が弱く、簡単に入れる状態が多い
空き家は、いわば鍵のかかっていない宝箱のような状態です。「誰も見ていない」と思われれば、放火、不法侵入、盗難など、あらゆる犯罪の入り口になってしまいます。適切な管理がされていない空き家ほど、犯罪者にとって魅力的な“隠れ場所”になってしまうのです。
犯罪が起こりやすい空き家の特徴とは
犯罪が発生しやすい空き家には、いくつか共通した特徴があります。これは警察庁の「防犯環境設計」の視点でも説明されている内容で、プロの犯罪者ほど“入りやすさ”を瞬時に判断します。特にリスクが高くなる空き家の特徴を整理すると、以下のとおりです。
- 庭や雑草が伸び放題で、明らかに手入れされていない
- 郵便受けに古い郵便物が溜まっている
- 雨戸や窓がずっと閉め切られている
- 屋根や壁が破損していて劣化がわかる
- 家の周囲に生活の気配がまったくない
これらは犯罪者が“安全な犯行場所”と判断しやすいポイントです。例えば、あなたがもし無人島にこっそり隠れ家を作るとしたら、「人が来ない場所」「管理されていない場所」を選ぶはずです。犯罪者もまったく同じ心理で空き家を選んでいるのです。
また、窓ガラスが割れていたり、フェンスが壊れているような空き家は、犯罪者に「ここは誰も管理していない」と明確なサインを出してしまいます。防犯性の低下と管理不足が重なるほど、犯罪の温床になりやすいのです。
空き家増加と社会問題化する背景
空き家が犯罪リスクとして社会問題になっている背景には、日本の人口減少や地域の高齢化が深く関係しています。総務省の統計によると、空き家率は13.6%と過去最高を記録しており、この数字は年々増加傾向にあります。
空き家が増える理由はさまざまですが、代表的なものは次のとおりです。
- 相続した家を「使わないまま放置」している人が増えている
- 地方では住む人が減り、家が余っている状態
- 維持管理の費用負担が重く、管理しきれない
そして空き家が増えるほど、地域全体の監視性が低下し、犯罪者にとって行動しやすいエリアになっていきます。具体的には、防犯灯が少ない、近隣住宅の空き家率が高い地域では、放火や侵入犯罪が増えやすい傾向があります。
空き家が増えることは、単に景観が悪くなるだけでなく、地域全体の治安にも直結する重大な問題なのです。
空き家で実際に起きている犯罪の種類
放火や不法侵入など代表的な犯罪
空き家で最も多い代表的な犯罪は「放火」「不法侵入」「窃盗」の3つです。警察庁の犯罪統計でも、放火の現場として「人気のない住宅」がたびたび挙げられています。空き家は燃えやすく、発見も遅れるため、放火のターゲットにされやすいのです。
- 放火:火をつけても気づかれにくい
- 不法侵入:鍵が壊れている・施錠されていないことが多い
- 盗難:家の中に残された家具や金属類が狙われる
特に金属泥棒は、空き家にある給湯器・電線・エアコンなどの“金属資源”を狙っています。こうした設備は中古取引で値段がつくため、非常に狙われやすいのです。さらに、不法侵入が繰り返されると、室内が荒らされ、空き家の資産価値はどんどん下がってしまいます。
空き家は「住んでいない=誰にも気づかれない」という状態が続くだけで、犯罪の連鎖が始まる危険性を持っています。
空き家が狙われる悪質な不法占拠の実態
空き家で深刻化している犯罪のひとつが「不法占拠(住み着き)」です。これは住民のいない空き家に無断で住み込み、場合によっては電気や水道まで勝手に使用するケースがある非常に悪質な行為です。
不法占拠者は、一度住みつくと法律的に退去させるのが難しくなるケースもあり、所有者にとって大きな脅威です。
- 勝手に寝泊まりし、室内を荒らす
- 電気や水道メーターを無断使用するケースもある
- ゴミを勝手に捨て、室内が不衛生になる
これは、あなたの家に知らない人が突然入り込み、家財を荒らされ、強制的に居座られるようなものです。空き家を「誰でも出入りできる場所」に見せてしまうと、こうした不法占拠につながる危険性が高まるのです。
特に人通りの少ない地域では、占拠が数年にわたり発覚しないケースもあります。これは所有者にとって財産の損失だけでなく、精神的な負担も大きくなります。
薬物製造・密売に悪用されるケース
最近増えている深刻な犯罪が「薬物製造」「薬物の受け渡し拠点」として空き家が悪用されるケースです。外部から見ても人の気配がなく、近隣住民も不審な動きに気づきにくいため、犯罪組織にとって絶好の隠れ場所となってしまいます。
- 薬物の受け渡しに利用される
- 栽培施設として空き家が使われる
- 組織犯罪の“中継地点”にされやすい
これはニュースでもたびたび取り上げられている深刻な問題です。例えば、千葉県では実際に、空き家が覚せい剤密売の受け渡し場所として利用された事件が起きています。周囲の住民が「空き家だから気にしない」状態が続いてしまうと、犯罪組織にとっては最高の環境となってしまうのです。
ゴミの不法投棄や資材・設備の盗難被害
空き家は「不法投棄」のターゲットにもなります。誰も見ていない場所ほど、心ない人がゴミを捨てやすくなり、結果として家の周辺が荒れ、さらに犯罪を呼び寄せる悪循環が生まれます。
- 古い家具や家電を敷地内に捨てられる
- 建設廃材や粗大ゴミを不法に投棄される
- 室内に残った金属設備を盗まれる
これはまるで「一度ゴミが捨てられた場所には、次から次へとゴミが集まる」現象と同じで、治安悪化の第一歩になってしまいます。不法投棄が放置されると、近隣住民の生活環境にも大きな影響を与えます。
空き家で実際に発生した事件の具体例
盗みに入った空き家が放火された事件
2019年、埼玉県秩父市で発生した事件では、空き家に侵入した少年が、証拠隠滅のために放火し、家屋が全焼しました。このケースでは、不法侵入 → 窃盗未遂 → 放火 という三重の犯罪が同時に発生しており、空き家が“複数の犯罪の温床”となり得ることを示す典型例です。
空き家は“バレにくい場所”だと判断されるため、軽い気持ちの犯行が大きな事件につながることも少なくありません。
空き家に無断で住み着き逮捕されたケース
2020年、佐賀市で発生した不法占拠事件では、45歳の男性が約2年間にわたり空き家に住み続けていました。所有者が様子を見に訪れた際、布団が敷かれているのを見つけ事件が発覚しました。
- 長期間住み着いていても発覚しにくい
- 所有者が知らない間に室内を荒らされる
- 鉢合わせによる危険もある
空き家の管理が滞ると、このような重大なトラブルにつながり、所有者の安全まで脅かすことがあります。
空き家が薬物密輸の拠点に利用された事件
千葉県では、覚せい剤の大型密輸事件で、空き家が受け渡し場所として利用されていました。会社名義の空き家だったため、一見すると普通の物件に見えたものの、実態は犯罪組織による完全な隠れ家だったのです。
空き家は犯罪の“基地”となり、地域全体の治安に深刻な影響を与える可能性があります。
空き家の犯罪リスクまとめ
空き家は、管理されていない状態が続くだけで、放火・不法侵入・盗難・薬物犯罪など多くの危険にさらされます。特に外観の荒れ具合や人の気配のなさは、犯罪者にとって「入りやすい」「見つかりにくい」という絶好の条件となります。
空き家のリスクを減らすには、定期的な見回り・清掃・防犯対策が欠かせません。さらに、適切な管理が難しい場合は売却やリノベーションなど、空き家を有効活用する方法を選ぶことで、資産として活かすことも可能です。
空き家は放置さえしなければ、リスクを大きく減らし価値を取り戻すことができます。あなたの大切な資産を守るためにも、早めの対策が何より重要です。